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573 懲戒請求に根拠あり ~弁護士自治の成れの果て

第3 本件懲戒事由前段(会長声明)における「事実上の根拠」について


1 はじめに

本件懲戒事由前段のうち、「事実」に関する部分は、①神奈川県弁護士会が朝鮮学校補助金支給要求声明を出したこと、②対象弁護士がその弁護士会活動に賛同、容認し、その活動を推進する行為をしたこと、の2点である。その余の「違法である」「確信的犯罪行為である」という部分は論評であって「事実」ではない。但し、なぜ非行と思料したかの理由を説明する論評である。


2 「事実上の根拠」


ア 「朝鮮人学校補助金支給要求声明」とは、神奈川県弁護士会を含む各地の弁護士会及び日本弁護士連合会が、学校法人神奈川朝鮮学校を含む各地の朝鮮学校に補助金を交付するよう求めて出した会長声明を言う(例として甲15)。


イ 「違法である朝鮮人学校補助金」とは、朝鮮学校に補助金を出すことは違法であることを言う。

そう思料された根拠は諸々であるが、公的に権威のあるものとしては国の見解がある。

国は、公安調査庁の報告、参議院予算委員会における公安調査庁長官の答弁、文科省の就学支援室から朝鮮学校への照会、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)の刊行物やホームページ、在日本大韓民国民団の刊行物や文書、新聞報道等を根拠に、朝鮮高級学校に対する北朝鮮や朝鮮総聯の影響力は否定できず、その関係性が教育基本法16条1項で禁じる「不当な支配」に当たらないことが確認できず、就学支援金が授業料に充当されないことが懸念されるとの見解を有し、同見解を、裁判においても主張していた(裁判とは、朝鮮学校側が補助金不支給は差別であるとして国を訴えた裁判のこと)。

神奈川県弁護士会の声明(甲15)も、学校法人神奈川朝鮮学園は、5つもの学校を設置運営する法人でありながら、教科書に拉致問題を記述することさえ自律的に実施できないほど、不当な支配に服している事実を認定している。朝鮮総聯の不当な支配に服する学校に補助金を支出することは、教育基本法16条に違反する違法行為である。


ウ 「違法である(中略)要求声明」とは、弁護士を監督することを主目的として設立された法定の強制加入の公的法人である弁護士会(会長、副会長、懲戒委員、綱紀委員はみなし公務員である)が、政治的問題について、会としての決議をなしたり会長声明を発したりすることは、法人の目的の範囲を逸脱するもので違法だという意味である。

  そう思料する根拠としては、南九州税理士会の政治団体への寄付金決議が目的の範囲外とされた最高裁平成8年3月19日判決が有名である。ちなみに弁護士会については、国家秘密法に反対する日弁連総会決議が弁護士会の目的の範囲を逸脱したものであるとして111人もの弁護士が日弁連を訴えた事件がある(東京地裁平成1年(ワ)第4758号事件)。111人もの弁護士がそう思料するのであるから、一般人がそう思料することに根拠が無いと言えるわけがない。


エ 「要求声明に賛同、容認し、その活動を推進すること」は、弁護士会の内部で会長声明を出すよう働きかけたり、会長声明が出された後にこれを支持する旨の意見を表明したり、会長権限を濫用して政治的な会長声明を発する会長を不問に付し黙認する等の行為である。


オ 「日弁連のみならず傘下弁護士会および弁護士の」は、日弁連、会長声明を発した各弁護士会、及びその所属弁護士という意味である。


カ 「確信的犯罪行為である。」は、論評である。

教育基本法16条に違反して朝鮮総聯の不当な支配に服する教育事業に公金を支出すること、弁護士会の法人の目的の範囲外の行為である会長声明を違法に行うこと、さらに北朝鮮のミサイルや核開発や拉致問題の解決のため、国連と日本が経済制裁を実施しているさなかに、北朝鮮の団体である朝鮮総聯の傘下にある朝鮮学校に資金援助をすることは、経済制裁の効果を失わしめ、日本人の生命、身体、自由に重大な脅威を与えること、それは外患援助罪の構成要件に該当すること、したがってこれら二重、三重、四重もの違法行為を、一般人ならいざ知らず法の専門家である弁護士が行うことは、確信的犯罪行為と言っても過言ではないという意味の論評である。

論評は自由であり、懲戒事由が仮に犯罪に当たらなかったとしても、それで「弁護士の品位を失うべき非行」と思料したことがただちに根拠を欠くことになるわけではない。

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