<FATF対抗措置の要請>
FATFは過去6 年間にわたり、北朝鮮から生じる資金洗浄、テロ資金供与及び拡散金融の脅威から加盟国の金融システムを守るべく、効果的な対抗措置を適用することを、加盟国に対して要請するとともに、全ての地域に対して強く求めてきたところである。
北朝鮮に関するFATF声明
2017年11月3日(於:ブエノスアイレス)
(仮訳)
FATF は北朝鮮から生じる拡散金融リスクについて深く懸念し、北朝鮮の不正な金融活動を根絶するべく、FATF 勧告の強力な履行の重要性を強調する。本年採択された、北朝鮮に対する厳しい金融制裁を強化する国連安保理決議を踏まえ、FATF は拡散金融に関する国連の国際的な基準を再確認する。
大量破壊兵器の拡散及びその金融に関する北朝鮮の不正な活動によって引き起こされる脅威に対処するため、FATF は、関連するFATF 勧告及び国連安保理決議を効果的に履行するよう加盟国に要請するとともに、全ての地域に強く求める。
[北朝鮮に関連するFATF 勧告の強力な履行]
一般的に、効果的な資金洗浄・テロ資金供与対策の枠組みは、不正な金融対策にとって重要であるが、FATF は、北朝鮮から生じる拡散金融の脅威に対処するためには、FATF 勧告の履行が特に重要であることを強調する。特に、各国は個人及び団体に対し、対象を指定した金融制裁を遅滞なく強力に履行すべきであり、さらに、指定基準に合致した個人及び団体の新しいリストへの追加提案も検討し得る。FATF は、国連安保理決議第2270 号の要請の下、各国が、核又は弾道ミサイル計画に関連すると決定した北朝鮮の「政府」機関に対する金融制裁の対象拡大等、変化するリスクや最近の国連安保理決議を反映するため、本年6 月に勧告7 を改訂した。
さらに、各国は、拡散金融を撲滅し関連情報を共有するため、政策やその遂行の進展及び履行において、関連当局との間で協力及び連携する必要がある(勧告2)。拡散金融の撲滅に向けた効果的なシステムは、大量破壊兵器の拡散に関する国連安保理決議において指定された個人及び団体を特定し、資源を剥奪し、拡散金融のための資金若しくはその他の資産の取得・移転・使用の防止を確実にする。北朝鮮は、国連安保理決議第2270号(主文16)に記載されたように、制裁に違反する目的で、フロントカンパニー、シェルカンパニー、合弁企業及び複雑かつ不透明な所有構造を頻繁に使用している。効果的な体制発展の中核となるものは、関連する権限ある当局が金融機関及びDNFBPs(1)にガイダンス・具体的なフィードバックを実施すること(IO11(2))を含めた、制裁逃れ防止のメカニズムであ
る。
(1) DNFBPs:「指定非金融業者・職業専門家」と訳され、(a)カジノ、(b)不動産業者、(c)貴金属商、(d)宝石商、(e)弁護士、公証人その他の独立法律専門家及び会計士、(f)トラスト・アンド・カンパニー・サービスプロバイダー(その他の業種に含まれない、法人設立の仲介者として行動する業者等)
(2) 直接的効果(Intermediate Outcome):第4 次相互審査より追加された、当局及び事業者による勧告の履行状況を審査する項目。
<北朝鮮関連の国連安保理決議>
最近、国連安保理は北朝鮮に関するいくつかの重要な決議を採択した。FATF は、FATF勧告7 に基づく対象を指定した金融制裁の履行に加え、以下の項目が北朝鮮による不正な金融活動の根絶に、特に関連していることを強調する。
各国が、自国の領域内で、北朝鮮の銀行の新しい支店、子会社及び代表事務所の開設及び運営を禁止し、さらに、北朝鮮の銀行の既存の支店、子会社及び代表事務所を閉鎖し、また、北朝鮮の銀行との取引関係(コルレス関係)を終了させるために必要な措置をとること(国連安保理決議第2270 号、主文33)。
各国が、自国の領域内の又は自国の管轄権に服する金融機関が北朝鮮において新しい代表事務所又は子会社、支店若しくは銀行口座を開設することを禁止すること(国連安保理決議第2270 号、主文34)。銀行によって提供されるものに相応する金融サービスを提供している会社は、それらの目的において、金融機関とみなされること(国連安保理決議第2371 号、主文14)。
各国が、自国民により又は自国の領域内において、北朝鮮の団体又は個人(北朝鮮「政府」の代理としてか代表としてかを問わない。)との間で新規及び既存の全ての合弁企業又は共同事業体の開設、維持及び運営を禁止することを決定すること(国連安保理決議第2375 号、主文18)。
全ての国が、自国の領域内の銀行における銀行口座の数を、北朝鮮の外交使節団及び領事機関については一機関あたり一口座に、派遣されている北朝鮮の外交官及び領事官については一人あたり一口座に制限するための措置をとること(国連安保理決議第2321 号、主文16)。
<FATF 対抗措置の要請>
FATF は過去6 年間にわたり、北朝鮮から生じる資金洗浄、テロ資金供与及び拡散金融の脅威から加盟国の金融システムを守るべく、効果的な対抗措置を適用することを、加盟国に対して要請するとともに、全ての地域に対して強く求めてきたところである。
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