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526 税制上優遇措置における差別是正などを求める人権救済申立

 去る3月13日、東京朝鮮学園、神奈川朝鮮学園、横浜山手中華学園の各理事長及び保護者代表が申立人となり、日弁連に対して、税制上優遇措置における差別是正などを求める人権救済申立を行いました。


 ご存じのとおり、学校校舎の新増築などに対する寄付が所得控除や損金扱いになる 「指定寄附金制度」の対象として、インターナショナルスクールや東京韓国学園、東京独逸学園などいくつかの外国人・民族学校は認められており、また、教育や科学の 振興,文化の向上といった「公益の増進」に寄与すると認められた法人である「特定公益増進法人」の対象として、多くのインターナショナルスクールが認めれれ、同じく税制優遇を受けていますが、朝鮮学校と中華学校はそのどちらからも排除されてお ります。


 その排除されている理由を端的に言えば「短期滞在者が通っている外国人学校は日本社会にとって 『公益』で、永住者が通っている学校は『公益』ではない」ということです。


 この「とんでもない差別」を是正すべく、今回人権救済申立を行った次第です。

 ちなみに朝鮮学校と中華学校が一緒に人権救済申立をするのは今回は初めてです。


 また今回の申立は、人権協会会員の洪正秀弁護士、金舜植弁護士、金哲敏弁護士、李春 熙弁護士が代理人となっております。

  

 以下に申立の趣旨など一部内容をお知らせします。


  △人権救済申立書(一部)


 2006年3月13日

日本弁護士連合会 御中


申立人代理人弁護士  星  正  秀

  同     弁護士  金  舜  植

  同     弁護士  金  哲  敏

  同     弁護士  李  春  熙


〒231-0862 横浜市中区山手町43-2

申立人 学校法人横浜山手中華学園


〒114-0033 東京都北区十条台2-6-32

 同   学校法人東京朝鮮学園


〒221-0844 横浜市神奈川区沢渡21

 同   学校法人神奈川朝鮮学園


〒231-0862 横浜市中区山手町43-2

 同   横浜山手中華学校家長会 


〒112-0011 東京都文京区千石4-27-10

 同   東京朝鮮学校オモニ会連絡会


〒221-0844 横浜市神奈川区沢渡21

 同   神奈川朝鮮学園オモニ会連絡会


(中略)

被申立人 内閣総理大臣 小泉 純一郎

 同    文部科学大臣 小坂 憲次

 同    財務大臣     谷垣 禎一



申 立 の 趣 旨


 日本弁護士連合会は,当該関係各機関に対し,各中華学校,各朝鮮学校及び同学校に通う児童生徒及びその保護者に対する以下の人権侵害を是正するよう勧告する。


 1 各中華学校,各朝鮮学校を,「指定寄附金」制度の対象として認めること


 2 各中華学校,各朝鮮学校を,「特定公益増進法人」として認めること


 3 各中華学校,各朝鮮学校を,日本私立学校振興・共済事業団の「私立学校受配者指定寄付金制度」及び「融資制度」の対象として認めること


 4 朝鮮高級学校の卒業(見込み)生について,大学や専門学校(専門課程の専修学校)における個別の入学資格審査なしにその入学資格を認めること


申 立 の 原 因


第1 はじめに


 日本弁護士連合会は,1998年2月,日本国政府に対し,朝鮮学校等に対する大学入学資格・助成制度などの差別的な取り扱いが日本に在住する外国人の母国語ないし自己の国ないし民族の文化を保持する教育に関する重大な人権侵害にあたるとして,人権侵害を除去し,その被害を回復する適当な処置をとるよう勧告した。

 その後,大学入学資格問題の緩和,インターナショナルスクールに対する税制上の優遇策,各種学校及び学校法人認可基準の緩和(その結果,浜松市卸本町所在のペルー人学校「ムンド・デ・アレグリア学校」が南米系外国人学校としては全国ではじめて,県から準学校法人認可を得た。)など,外国人学校・民族学校に対する差別的な取扱いを除去するうえで一定の前進はあった。

 しかし,外国人学校・民族学校を学校教育法第1条と同等の,あるいはそれに準じる扱いをするまでには到底いたっていない。

 それどころか,近時の外国人学校・民族学校に対する日本政府の政策は,同じ外国人学校・民族学校のなかにおいて,インターナショナルスクール等と中華学校,朝鮮学校などの一部の外国人学校・民族学校を区別して,二重の基準を用いて,一部の外国人学校・民族学校に対する差別的取扱いを正当化しようとしている。

 以下,1998年2月の日弁連勧告以降に生じた新たな差別的取扱い(あるいは以前からあったが未解決の問題)について詳述する。 (以下略)



また、別件で人権講座が東京弁護士会主催で開かれている。懲戒請求裁判は日本人に対する人権弾圧の成功例として東京弁護士会公認で活用されているようだ。以下東弁資料から。


東京弁護士会イベント

国際人権活用法連続講座 ~国際人権の切り口から学ぶ実務~


第3回 「外国人の権利と国際人権」

~いわゆるオールドカマーの抱える人権諸問題を中心に~

2019 年11 月13 日

弁護士 金 哲敏(東京弁護士会外国人の権利に関する委員会元委員長)


※以下、資料から抜粋。11月13日付けの資料に、10月29日の上告棄却案件がすでに反映されている。金哲敏弁護士は、裁判所からとても早く情報を入手していたと推定できる。上告棄却案件の原告は他の弁護士であり、この事案で金哲敏氏は代理人を委任されてはいない。


1.概論

(1) 「外国人の人権」問題という枠組み

旧植民地出身者を中心とするいわゆるオールドカマーについては、1952 年4 月28 日の

サンフランシスコ講話条約発効に伴う国籍喪失処置(1952 年4 月19 日法務府民事甲第438

号民事局長通達)により「外国人」とされた。そのため、オールドカマーに関する人権問

題は、主として「外国人の人権」の問題という枠組みで扱われることとなり、次のような

人権制約が広範に正当化される帰結となった。

①在留資格の不安定、外国人登録制度(指紋押捺)

②社会保障・教育からの排除

③参政権・公務就任権からの排除

④私人間における民族差別

⇒血統主義国籍法により、オールドカマーに対しては、4~5世代にわたり「外国人」

差別の形で広範な人権制約が正当化され続けている。

(2) 人権諸条約への加入による「外圧」と人権状況の改善

1979 年 国際人権規約の批准(内外人平等を含む非差別平等を基本原則)

⇒1980 年に住宅金融公庫法、公営住宅法、住宅都市整備公団法、地方住宅供給公社法に

関する国籍条項の解釈変更

1982 年 難民条約の批准(職業・社会保障についての内国民待遇・最恵国民待遇を要求)

⇒1982 年に国民年金の被保険者資格の改正

⇒1982 年に国民年金法、児童扶養手当法、特別児童扶養手当法、児童手当法の国籍条項

撤廃、国公立大学の教授任用法成立

⇒1984 年に郵政省外務員の国籍条項撤廃

⇒1991 年に国公立小中高校教員採用試験国籍条項撤廃

⇒1991 年に入管特例法成立(特別永住資格)

⇒1993 年に外国人登録法改正(指紋押捺免除)

1995 年人種差別撤廃条約への加入(あらゆる人種差別の禁止・撤廃を要求)

⇒条約上の義務は既存の国内法制により履行可能として立法措置を取らず

⇒2016 年にヘイトスピーチ解消法


(中略)


(5) 大量懲戒請求事件(東京高判令和元年5 月14 日裁判所裁判例情報サイト登載(別添

資料)/最決令和元年10 月29 日上告棄却・上告不受理)

2017 年11 月~12 月の同時期に、約950 名の者(北海道から九州まで全国に分布)が、東京弁護士会の役員弁護士に加えて、在日コリアンの姓を有する弁護士8 名に対して、大要以下の内容で懲戒請求を行ったことに対し、不法行為及び人種差別に該当するとして損害賠償請求。なお、懲戒請求については、いずれも2018 年4 月26 日付けで東京弁護士会より懲戒しない旨の決定が下されている。

「 違法である朝鮮学校への補助金交付の会長声明に賛同、容認、その活動を推進することは、弁護士の確信犯的犯罪行為である。利敵行為としての声明のみならず、直接の対象国である在日朝鮮人で構成されるコリアン弁護士協会(原文ママ)との連携も看過できない。この件は、別途外患罪で告発している。あわせてその売国行為の早急な是正と懲戒を求めるものである。」


⇒不法行為については、「請求者が,懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠くことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに,あえて懲戒を請求するなど,懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときは,違法な懲戒請求として不法行為となる」と判断した最高裁判決(最判平成19 年4 月24 日民集61 巻3 号1102 頁)の枠組みで認定


⇒「本件懲戒請求において一審原告を含む本件8人が名指しで対象弁護士とされた理由は,専らその氏を手掛かりとした民族的出身に着目したものであることが明らかであって,民族的出身に対する差別意識の発現ともいうべき行為であり,この点についても合理的な理由は全くない。これに対し,一審被告は,第2の4(2)ウのとおり主張するが,本件懲戒請求はもっぱら一審原告の民族的出身に着目してされたものと認められる」として、不当懲戒が差別意識の発現であることは認定


⇒「本件会長声明の発出主体ではなく,東京弁護士会の役員でもない一審原告が対象弁護士とされたのは,専らその民族的出身に着目されたためであり,民族的出身に対する差別意識の発現というべき行為であって合理性が認められないところ,このような理由から本件8人を対象弁護士とし,名指しで懲戒請求をすることは,確たる根拠もなしに,弁護士としての活動を萎縮させ,制約することにつながるものである。したがって,一審被告は,本件懲戒請求により一審原告が受けた精神的苦痛の損害を賠償すべきである」と判示


⇒しかし、人種差別撤廃条約上の人種差別該当性の判断を示さず、人種差別であることを慰謝料の増額事由としても明示せず。


⇒なお、並行して複数の事件が進行中であり、裁判所の判断(論理)も区々となっている。

以上

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