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510 東京弁護士会と神奈川県弁護士会を提訴③

本件事案の総括


 本件は、弁護士会が、弁護士行政機関という公的性質を顧みず、政治団体化・北朝鮮の代理人化して大量会長声明を発出した問題につき、多くの国民が懲戒請求という形で是正を求めたところ、弁護士会が対象弁護士一人につき3億円の損害をわざわざ発生させ、対象弁護士が法律のしろうとの懲戒請求者を法廷に引きずり出して多額の金員を支払わせて「血祭り」「落とし前」をつけ(甲116)、もって弁護士会批判を封じ、弁護士会の政治団体化、北朝鮮の代理人化の問題を棚上げにしたままという事件である。

 弁護士会は弁護士の懲戒を司る目的で法が設立を義務付けた懲戒制度の専門家である。一方、懲戒請求者は一般人であり懲戒制度の知識は無い。 

懲戒請求を呼び込んだのは弁護士会の大量会長声明であり、秘密に処理されるべき懲戒請求を「大量懲戒請求問題」に膨らませ損害を異常拡大させたのも弁護士会であるから、対象弁護士1人に生じた3億円もの損害は、これを発生させた弁護士会が負担するのが社会正義に叶う。 



訴状 2/5


第4 原告1について ~嶋﨑弁護士事案の異常な手続き~p4

1 事実経過p4

2 弁護士法58条2項の開始要件を欠く違法な手続き開始p6

3 損害賠償請求訴訟1と弁済p7

4 嶋﨑弁護士が主張する損害と被告の不法行為責任p7

  (1)登録替え等の制限p8

  (2)ア 利益相反確認の負担p9

  イ 大量性の苦痛p10  


第4 原告1について ~嶋﨑弁護士事案の異常な手続き~

1 事実経過

ア 嶋﨑弁護士に対する懲戒請求は、右肩番号233番のひな型による懲戒請求書でなされた(甲54)。

懲戒請求書に不動文字で印字されていた懲戒事由は、嶋﨑弁護士の下記ツイート投稿1つの他、同人のプロフィール投稿をそのまま載せた上で、「この件は共謀による脅迫罪として別途告発されている事案である。」との説明が付されたものであった。

    記

嶋﨑量(弁護士)@shima_chikara

返信先:@ssk_ryoさん

何で懲戒請求されているのか、ほんと謎です。酷い話だ。

19:30-2017年9月18日

ttps://twitter.com/shima_chikara/status/909967858364407809

(以上。以下「本件嶋﨑ツイート事案」という)

イ 原告1は、平成29年中に、本件嶋﨑ツイート事案の懲戒請求書に、住所、氏名を記入し、押印をして、日付欄は空欄にして、取りまとめ団体の日本再生大和会に郵送した。

後に訴訟で嶋﨑弁護士が証拠提出した原告1名義の懲戒請求書には、日付欄に他人の筆跡で「11」「16」と数字が記入されていた(つまり平成29年11月16日付け懲戒請求書となっていた)。また、被告神奈川県弁護士会の受付印が押され、その日付は「17.12.13」となっていた(甲54)。これは2017年12月13日の意味と思われる。

ウ 被告神奈川県弁護士会は、原告1名義のものを含む本件嶋﨑ツイート事案の懲戒請求書958枚を、平成29年中に受け付けた。

尚、これらはまとめて被告神奈川県弁護士会に送られたものであり、958枚が一括してまとめて送られたか、又は591枚と367枚の2つのグループにまとめられて送られたかのどちらかと思われるが、とにかく個々の懲戒請求者が全国各地からそれぞれバラバラに送付してきたものではない。

エ 被告神奈川県弁護士会は、懲戒請求者ごとに「事案番号」(事案は1つであるから、本来「懲戒請求者番号」と呼ぶべきもの)を付した。本件嶋﨑ツイート事案にかかる「事案番号」は、平成30年(綱)第11-1号ないし11-591号、及び平成30年(綱)第58-1号ないし58-367号であった。

オ 平成30年4月3日、被告神奈川県弁護士会は、本件嶋﨑ツイート事案を懲戒手続きに付し、綱紀委員会に調査をさせた(甲3)。

カ 前同日付けで、被告神奈川県弁護士会は、弁護士法64条の7第1項1号に基づき、嶋﨑弁護士に対する「懲戒請求事案の調査開始のお知らせ」という文書(以下「調査開始通知」という。甲3)を作成した。

しかしこの時点ではまだ嶋﨑弁護士に調査開始通知を送らなかった。

キ 被告神奈川県弁護士会は、懲戒請求者のうち591人の住所、氏名、郵便番号を入力したリスト「K30-11-1乃至11-591 懲戒請求者一覧」(以下「本件591人リスト」という)を作成し、これを調査開始通知に添付した(甲3)。

ク 同年4月4日、すなわち調査開始の翌日、綱紀委員会は、審査を求めない議決をした。議決の理由は、「上記投稿の内容からみて、対象弁護士につき、共謀による脅迫罪が成立する余地はなく、懲戒すべきでないことが一見して明らかであると認められる。」というものであった(甲5の2)。

ケ 綱紀委員会が議決をすれば、弁護士会は裁量の余地なく当該議決のとおりの決定をしなければならない(弁護士法58条4項後段)。言い換えれば、議決が出れば、その議決のとおりの決定を出すだけでよく、即日か、どんなに遅くとも翌営業日には可能である。

同年4月27日、被告神奈川県弁護士会は、議決から3週間以上も経って、ようやく嶋﨑弁護士を懲戒しない決定をした(甲5の1)。

 被告神奈川県弁護士会は、その頃、調査開始通知と懲戒しない決定の通知を一緒に、嶋﨑弁護士に送った。つまり、嶋﨑弁護士は、懲戒しないという結論を知った時が、自分に対して懲戒請求がなされていたことを知った時であった。かつ、調査開始通知に添付されていた本件591人リストによって、本件が大量懲戒請求であったことを知った時であった。

これにより、本件嶋﨑ツイート事案の懲戒手続きは終了した。

コ ところが被告神奈川県弁護士会は、同年7月31日、突如、本件嶋﨑ツイート事案を再び懲戒手続きに付し、綱紀委員会に調査をさせた(甲4)。同年4月27日の懲戒しない決定の後に新たに懲戒請求がなされたわけではないから、弁護士法58条2項に規定する懲戒手続き開始要件を欠く、全く違法な懲戒手続き開始であった

サ 2度目の違法な懲戒手続きは、調査開始の翌日である同年8月1日に綱紀委員会で審査を求めない議決がなされた。議決の理由は、1度目の議決と全く同じ、すなわち「上記投稿の内容からみて、対象弁護士につき、共謀による脅迫罪が成立する余地はなく、懲戒すべきでないことが一見して明らかであると認められる。」というものであった(甲6の2)。

シ 被告神奈川県弁護士会は、それから3週間も経った同年8月22日、懲戒しない決定をした(甲6の1)。被告神奈川県弁護士会は、その頃、調査開始通知(甲4)、議決書(甲6の2)、懲戒しない決定の通知(甲6の1の1)を一緒に、嶋﨑弁護士に送った。調査開始通知には、懲戒請求者のうち367人の住所、氏名、郵便番号を入力した「K30-58-1乃至58-367 懲戒請求者一覧」というリスト(以下「本件367人リスト」という)が添付されていた。


2 弁護士法58条2項の開始要件を欠く違法な手続き開始

2度目の懲戒手続きは、完全に被告神奈川県弁護士会のミスである(故意の嫌がらせでなければ)。

被告神奈川県弁護士会は、1度目の懲戒手続きにおいて、弁護士法64条の7第1項1号2号に基づき、調査開始通知及び懲戒しない決定の通知を、懲戒請求者に送らなければならなかった。しかし被告神奈川県弁護士会は、故意または過失によって、958人の懲戒請求者のうち、591人だけに通知を送り、残り367人には通知しなかった。(以下善意に解釈して通知漏れのミスということにする。)

被告神奈川県弁護士会は、同年7月に至って通知漏れのミスに気付いたのであれば、遅ればせながら同年4月3日の調査開始と同月27日の懲戒しない決定を、失念していた367人に通知すればよいだけであった。弁護士法64条の7には、通知を「速やかに」すべきと書かれているので、3ヶ月も遅れたことは問題ではあるが、だからと言って他にどうしようもなく、遅ればせながら通知することが唯一の正解であった。

 それにもかかわらず、被告神奈川県弁護士会は、法58条2項の開始要件を欠くのに、同年7月31日に、本件嶋﨑ツイート事案について、再び懲戒手続きを開始したのである。それも、自ら「懲戒すべきでないことが一見して明らか」(甲5の2)と評価していた事案であったにもかかわらず、である。

 原告1は、この違法な2回目の懲戒手続きにおいて、懲戒請求者として扱われた者である(原告1に付された「事案番号」は平成30年(綱)第58-●●●号。甲6の1の2)。


3 損害賠償請求訴訟1と弁済

 嶋﨑弁護士は、原告1の懲戒請求は不法行為であり損害を被ったとして、原告1含む懲戒請求者らに対し、損害賠償請求訴訟を提起した(東京地裁令和2年(ワ)第×××××号。以下「別件訴訟1」という)。

 嶋﨑弁護士は、5万円の賠償金を払って和解した者を除き、懲戒請求者全員を提訴し、各々に対し33万円ずつ請求している。それら大量提訴の結果、満額33万円から1万1千円まで金額に幅はあるものの、基本的に認容する判決が多数下されている。そのため原告1は、遅延利息の発生を避けるため、令和3年5月7日、3万3千円の元金と平成29年12月13日から同日までの遅延損害金合計3万8610円を、嶋﨑弁護士の代理人西川治弁護士の預かり口口座に振込送金して支払った(甲82)。


4 嶋﨑弁護士が主張する損害と被告の不法行為責任

嶋﨑弁護士が主張する損害は、被告神奈川県弁護士会の違法行為により発生したものである。以下、詳述する。


(1)登録換え等の制限

 嶋﨑弁護士は訴状で「登録換え又は登録取消しの請求ができないという身分的制約」の損害を主張し、次のとおり記している。

曰く、

「懲戒請求がなされて、懲戒の手続に付されると、当該懲戒請求の対象とされた弁護士は、懲戒の手続が結了するまで、他の弁護士会への登録換え又は登録取消しの請求をすることができないという身分的制約を課される(弁護士法62条1項)。

これは、日本国憲法22条により保障された居住、移転及び職業選択の自由という基本的人権に対する重大な制約であるが、懲戒請求を受けた弁護士が登録換えや登録取消しにより懲戒を免れるという不当な結果を防止するために設けられたものであって(弁護士法56条2項参照)、懲戒が行われる場合はもちろん、結果として懲戒を受けなかったとしても、適法な懲戒請求においては、弁護士懲戒制度に対する実効性を担保するため、かかる制約は是認されるものであろう。

しかし、違法な懲戒請求の場合にまで、対象弁護士がかかる制約を甘受しなければならない理由はなく、潜在的であれ日本国憲法22条1項により保障された居住、移転及び職業選択の自由という基本的人権が実質的に侵害されうる状況に置かれたとの事情は、原告の被った精神的損害に対する慰謝料額を算定するにあたり、これを増額する方向の事情として考慮されなければならない。」

「本件各懲戒請求により、原告は少なくとも平成30年7月31日から8月22日まで(23日間)、弁護士会の登録換及び登録取消の請求ができない制約を受けた。」(甲59、訴状の20頁~22頁1行目)

前記のとおり、2回目の懲戒手続き開始は、弁護士法58条2項の要件を欠く違法かつ異常なものである。

 そして、単に弁護士法違反にとどまらず、嶋﨑弁護士に対する不法行為を構成する。

 なぜならば、弁護士法上、懲戒手続きが結了するまで対象弁護士は登録替え等の制限を受けることを、被告神奈川県弁護士会は熟知しており、嶋﨑弁護士の損害も予見していた。そして、違法な2回目の懲戒手続きを開始しないことによって、容易にその損害を回避することができた。それにもかかわらず、被告神奈川県弁護士会は、違法な2回目の懲戒手続きを開始して、嶋﨑弁護士に予見していたとおりの損害を発生させたからである。

したがって、被告神奈川県弁護士会は嶋﨑弁護士に対し、不法行為に基づく損害賠償責任を負う。原告1はその損害賠償を支払ったから、被告神奈川県弁護士会は原告1に対し求償債務を負う。

求償割合は、被告神奈川県弁護士会が違法な2回目の懲戒手続きを開始したことに関して原告1の寄与度はゼロであるから、100パーセントである。

 

(2)

ア 利益相反確認の負担

嶋﨑弁護士は、依頼者との利益相反確認の負担を損害として主張した。利益相反確認は、弁護士法25条1号ないし3号、及び日弁連の会規「弁護士職務基本規程」第27条、28条に定めがあるものである。

 嶋﨑弁護士曰く、

「本件では、多数の懲戒請求が申し立てられたため、私自身も事務負担も被っています。大量の懲戒請求について、懲戒請求者の氏名など管理をしなければ、私はもちろん、同僚の弁護士も日常の事件受任などができず、管理すること自体に時間をとられます。

  私の所属する神奈川総合法律事務所には、現在弁護士11名の弁護士が所属していますが、事件を受任するに当たって懲戒請求者と利益相反関係(弁護士法25条1号ないし3号)があるか否かを確認するためにも名簿を作成・管理して、そこでチェックをしなければならず、事件の管理と把握の負担を負うのです。

  私の事務所の特徴として、第5次厚木基地爆音訴訟という原告が9000名近い大規模訴訟の原告代理人弁護士が7名いるため、懲戒請求者の氏名をきちんと確認しなければなりません。(中略)同事件の原告らに懲戒請求者らと同一人物と疑われる者はいませんでしたが、この事件のみでも相当の負担です。もちろん、その事件受任時の事務管理コストは、事務所の共同経営者である私(及び他の共同経営者)が負担することになります。」(甲60、別件訴訟1の陳述書7~8頁)。

「懲戒請求者が、事務所の11名の弁護士の既存の依頼者等と重なっているといろいろ問題があるので、チェックをしました。一番大変だったのが、厚木基地訴訟の爆音訴訟です。(中略)原告が九千人います。データ化してはいますが、1件ずつこの懲戒請求者と重なっていないか、11人の既存の普通の弁護士としてのクライアントももちろんそうですが、全部チェックしていかなければいけない。そういう事務作業が生じています。」(甲61、別件訴訟1の書証としての尋問調書6頁)。


イ 大量性の苦痛

 嶋﨑弁護士は、全国の見ず知らずの多数人から大量の懲戒請求を受けた苦痛、一人一人の懲戒請求によって傷付いた苦痛を主張している(以下「大量性の苦痛」という)。

 曰く、

「本件ブログの呼びかけに応じて、私には延べ958件の懲戒請求がなされました。見ず知らずの人たちから、これほどの大量の害意が私に向けて寄せられ、しかも懲戒請求という現実の加害行為にまで及んでいるという状況は心理的に非常に辛いものです。」(甲60、別件訴訟1の陳述書8~9頁)。

「私は懲戒請求者の氏名・住所を繰り返し眺めました。知っている人がいないか、これまでの私の言動で恨みを買ったのではないか、何度も自問自答をしましたし、これほどの恨みを買っている現実は常に私の頭を離れません。」(甲60、別件訴訟1の陳述書9頁)。

「自らが全く面識もない大人数の人間から大量の懲戒請求を受け、『テロリスト』『反日勢力』であるとして、同時に脅迫罪で刑事告発されるほどの、強烈な害意をぶつけられていることを認識させられました。」「被告ら懲戒請求者は大人数であることから、集団であるが故に理性を制御することができなくなり暴徒化してしまい、さらなる現実の行動(たとえば事務所への架電や大量のFAX送付による業務妨害、原告やその家族・事務所の同僚弁護士や事務員に対する害意の告知や危害などによる嫌がらせ)が起きるのではないかと、強い恐怖心も覚えています。」(同陳述書12頁)

「私としても、一つ一つの懲戒請求によって、人格を傷つけられています」(同陳述書15頁)。

「(原告に対する懲戒請求者のリストが出ていますよね。これご覧になってどのように思いますか。)すごく不気味というか、恐ろしい、うまく表現できませんが、怖い思いをします。」「(特に、地域的なこととか、家族のことはいかがでしょうか。)この中には、私が今実際に住んでいる自宅、実家など、小学校の学区が同じ人がたくさんいるんですね。」(甲61、別件訴訟1の書証としての尋問調書3頁)。


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