佐々木北両弁護士原告の控訴審で、弁護士費用は認められないという判決が出た。
4月には、控訴審で1.1万円や3.3万円という低額認容が覆され、一審で審理した結果をすべて無視して原告の訴状通りの満額判決が出ていたため、裁判の必要性に大きな疑問が生じていた。逆転満額判決を言い渡した裁判官には、下記の判決の熟読を求めたい。
判決金額は佐々木弁護士が3万円、北弁護士が2万円と差があるが、それは弁護士会に提出した答弁書の数の違いだろうか。佐々木氏は10通、北氏は1通、1通書くのに2万円の慰謝料で、追加は1通当たり千円程度、であれば大量懲戒請求と呼ばれるものも、最初の1通については2万円の慰謝料でも、事案が同じならあとは千円が相場でいいはずであろう。
訴状通りならば裁判は不要であり、AIの方がよほど公正な審理ができると考える。それに早くから気づいていた慧眼の持ち主は、日本を代表するSF作家にしてショートショートの生みの親である星新一だった。法曹は利権団体と喝破して、冤罪まで描かれている。興味のある方は「誰かさんの悪夢」に収録された「問題の装置」のご一読を。
なおこの判決については、裁判官から選定当事者に「実質勝訴判決です」とのコメントがあったとのことだが、不法行為認定はいただけない。本判決中の一般論の判示に照らせば、少なくとも北氏の請求を認容するのは矛盾しているとの分析結果も届いている。つまり北弁護士については実質棄却であることがわかる。
令和3年4月22日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和2年(ネ)第3042号 損害賠償請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所令和元年(ワ)第31551号)
口頭弁論終結日 令和3年2月25日
判 決
控訴人兼被控訴人 佐々木 亮
(以下「第1審原告佐々木」という。)
同訴訟代理人弁護士 北 周士
控訴人兼被控訴人 北 周士
(以下「第1 審原告北」という。)
同訴訟代理人弁護士 佐々木 亮
主 文
1 第1審被告(選定当事者)の本件控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。
⑴ 第1審被告(選定当事者)は,第1審原告佐々木に対し,選定者らそれぞれのために
各3万円及びこれに対する平成29年12月31日から支払済みまで年5分の割合による
金員を支払え。
⑵ 第1審被告(選定当事者)は,第1審原告北に対し,選定者らそれぞれのために各2
万円及びこれに対する平成29年12月31日から支払済みまで年5分の割合による金員
を支払え。
⑶ 第1審原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
2 第1審原告らの本件控訴をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は,第1,2審を通じて,これを25分し,その23を第1審原告らの負担と
し,その余を第1審被告(選定当事者)の負担とする。
4 この判決は,第1項⑴及び⑵に限り,仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 控訴の趣旨
1 第1審原告ら
⑴ 原判決を次のとおり変更する。
⑵ 第1審被告(選定当事者)は,第1審原告佐々木に対し,選定者らそれぞれのために
各33万円及びこれに対する平成29年12月31日から支払済みまで年55 分の割合
による金員を支払え。
⑶ 第1審被告(選定当事者)は,第1審原告北に対し,選定者らそれぞれのために各3
3万円及びこれに対する平成29年12月31日から支払済みまで年5分の割合による
金員を支払え。
2 第1審被告(選定当事者)
⑴ 原判決中,第1審被告(選定当事者)敗訴部分を取り消す。
⑵ 上記取消部分に係る第1審原告らの請求をいずれも棄却する。
第2 事案の概要
1 本件は,弁護士である第1審原告らが,選定者らのした第1審原告らに対する所属弁
護士会への懲戒請求により精神的苦痛を被ったと主張して,第1審被告(選定当事者)に
対し,不法行為に基づき,選定者らそれぞれのために損害賠償金各33万円(慰謝料30
万円,弁護士費用3万円)及びこれに対する不法行為後の日である平成29年12月31
日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所
定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
原審は,第1審原告佐々の請求を各3万3000円(慰謝料3万円,弁護士費用300
0円)及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で,第1審原告北の請求を2万2
000円(慰謝料2万円,弁護士費用2000円)及びこれに対する遅延損害金の支払を
求める限度でそれぞれ認容し,第1審原告らのその余の請求をいずれも棄却したところ,
当事者双方が各敗訴部分を不服として控訴した。
2 前提事実並びに争点及びこれに関する当事者の主張は,次のとおり補正するほかは,
原判決の「事実及び理由」の「第2 事案の概要」の1及び2(原判決3頁8 行目から
7頁17行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。
⑴ 原判決5頁2行目の「答弁書7通」を「懲戒請求者ごとに10通の答弁書」に改
め,「甲15の1~7」の次に「甲17の1~10」を加える。
⑵ 同5頁6行目の「弁論の全趣旨」を「甲23の1,2 弁論の全趣旨」に改める。
⑶ 同5頁9行目の「答弁書1通」を「懲戒請求者全員分をまとめて1通の答弁書」に改める。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所は,第1審原告佐々木の請求は,第1審被告(選定当事者)に対し,選定者
らそれぞれのために各3万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があ
り,第1審原告北の請求は,第1審被告(選定当事者)に対し,選定者らそれぞれのため
に各2万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,第1審原告ら
のその余の請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は,次のとおり補正するほか
は,原判決の「事実及び理由」の「第3 当裁判所の判断」の1ないし5(原判決7頁
19行目から13頁10行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。
⑴ 原判決10頁25行目及び11頁1行目の各「7通」をいずれも「10通」に改め
る。
⑵ 同11頁19行目の「そして,」から21行目の「相当である。」までを「他方,
本件事案の内容及び上記慰謝料額や第1審原告佐々木が弁護士であることも勘案すれ
ば,弁護士費用相当額の損害は認めることができない。」に改める。
⑶ 同13頁2行目の「そして,」 から4行目の「相当である。」までを 「他方,本
件事案の内容及び上記慰謝料額や第1審原告北が弁護士であることも勘案すれば,弁
護士費用相当額の損害は認めることができない。」に改める。
2 1審原告らは,原判決認定の慰謝料額が低額すぎる旨主張するところ,そもそも弁護士
懲戒制度は,弁護士が,国民の基本的人権を擁護し社会正義を実現することを使命とし
(弁護士法1条),深い教養の保持と高い品性の陶やが求められ(同法 2条),その職
務は法律事務全般に及ぶことから(同法3条),弁護士に対する国民の信頼を維持し向上
させるためにその指導監督が十分に行われなければならないところ,弁護士の職責上,国
家機関に対立する批判者の立場に立つこともあることから弁護士の自主性・自律性を重ん
じ,所属弁護士会及び日本弁護士連合会に懲戒権を付与したものである。そして,民間企
業や他の多くの組織の場合とは異なり,所属弁護士会や日本弁護士連合会が,個々の弁護
士の職務の内外に及ぶ行動全般を把握しておくことは不可能なので,広く何人にも懲戒請
求権を認めるとともに,他方で,根拠のない懲戒請求がされた場合に,弁護士が名誉と信
用を害されるなど著しい不利益を受けないように,直ちに懲戒委員会の審査に付すること
なく,綱紀委員会を設けて(同法58条),予備的な審査を行うものとしている。
本件懲戒請求①及び②についても,上記のような弁護士法が予定した仕組みに従って,
綱紀委員会の予備的な審査に諮られ,その結果,東京弁護士会は,第1 審原告らを懲戒
しないことを決定し,第1審原告らには格別の負担が生じることなく手続が終了している
(補正の上引用した原判決4頁24行目の冒頭から5頁14行目の末尾まで)。
そのような弁護士懲戒制度の趣旨や仕組みに鑑みると,弁護士が行った発言に対して法
律知識の乏しい一般人が懲戒請求を行ったからといって,当該弁護士がそれにより被った
損害の賠償を求めて法的措置を執ることが常に必要かつ相当であるとは限らず,むしろ,
一般に弁護士の職責にある者の発言が重く受け取られがちであることも考慮すると,弁護
士の自己に対する懲戒請求への対応については,ある程度謙抑的な姿勢が求められるとい
うべきである。
以上によれば,本件各懲戒請求①及び②が,他者の呼び掛けに安易に応じて不特定多数
の者が懲戒請求をするという,エスカレートすれば弁護士の言論封じに繋がりかねない側
面を有するものであることを考慮しても,第1審原告らが本件各懲戒請求によって被った
精神的苦痛に対する慰謝料としては,原判決認定の金額が相当であると認められる。
一方,第1審被告(選定当事者)は,第1審原告らの請求が棄却されるべきであるとし
てるる主張するが,その主張や当審で提出する証拠(乙1~25)によっても,補正の上引
用した原判決の結論が覆ることはない。
3 以上のとおり,第1審原告佐々木の請求は,第1審被告(選定当事者)に対し,選定者
らそれぞれのために各3万円及びこれに対する不法行為後の日である平成29年12月3
1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理
由があるからこれを認容し,第1審原告北の請求は,第1 審被告(選定当事者)に対
し,選定者らそれぞれのために各2万円及びこれに対する不法行為後の日である上記同日
から支払済みまで上記同様の遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容
し,第1審原告らのその余の請求はいずれも理由がないから棄却すべきであり,これと異
なる原判決は一部失当であって,第1審被告(選定当事者)の本件控訴は一部理由がある
から原判決を上記のとおり変更することとし,第1審原告らの本件控訴はいずれも理由が
ないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第21民事部
裁判長裁判官 定塚 誠
裁判官 佐藤 重徳
裁判官 須賀康太郎
東京弁護士会には懲戒請求に至った理由をこれから提出します。
台東法律事務所からは、1人分10万円の支払い請求が届き、期日が過ぎると1人27万円
2人分54万円を支払うよう請求が来ています。夫の認知症が始まって出かけると帰宅出来ない状況があり書類を見ていず今慌てています。家族3人分の請求があちこちの事務所から届くとどうなるのでしょう。