余命三年時事日記は有事前提の日本再生実行ブログです。
最近の国際情勢は前提条件を満たしつつあります。外患誘致罪の存在を知ってもらうことも、ブログの役割のひとつでした。そしてTOC条約のためにはテロ等準備罪が必要であることも繰り返し述べていました。
一見すると無関係な外患誘致罪とテロ等準備罪ですが、テロ等準備罪には外患誘致のエッセンスが取り入れられています。TOC条約が義務付けている「合意罪」は内乱罪と外患誘致罪だけが処罰可能としていましたが、その部分がテロ等準備罪で実現されています。
本稿では法務省のサイトに掲載されている「テロ等準備罪について」述べられた分かりやすい解説を引用します。読み進めるうちに、最近書類送検された人民解放軍の指示とみられるサイバー攻撃事案の意味も分かってくるかもしれません。
JAXAなどに大規模なサイバー攻撃 中国人民解放軍の指示か 2021年4月20日 11時38分 サイバー攻撃
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210420/k10012984761000.html
JAXA=宇宙航空研究開発機構や防衛関連の企業など日本のおよそ200にのぼる研究機関や会社が大規模なサイバー攻撃を受け、警察当局の捜査で中国人民解放軍の指示を受けたハッカー集団によるものとみられることが分かりました。 警視庁は、日本に滞在していた中国共産党員の男がサイバー攻撃に使われたレンタルサーバーを偽名で契約したとして、20日にも書類送検する方針です。(全文はリンク先参照)
テロ等準備罪について テロ等準備罪を分かりやすく解説します。
http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00143.html
1 TOC条約締結の必要性
テロ等準備罪の新設により、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結が可能となり、平成29年7月にTOC条約を締結しました。
テロ等準備罪は、TOC条約を締結するために設けられたものです。
TOC条約は、テロを含む組織犯罪を未然に防止し、これと闘うための条約であり、令和2年7月時点で、我が国を含め190の国や地域が締結しています。
我が国は、テロ等準備罪を設け、TOC条約を締結したことによって、組織犯罪に立ち向かう国際協力の輪に参加し、これらの国際協力を促進することができるようになりました。
TOC条約を締結したことにより、例えば、締約国との間で、自国で犯罪を行って他国に逃亡した犯罪人の引渡しを受けたり、我が国で潜伏する他国のテロリズム集団構成員を拘束してその国に引き渡すなどの犯罪人引渡しの実効性が高まりました(逃亡犯罪人引渡し)。また、自国の捜査・刑事裁判で用いる証言や証拠物等を外交ルートによることなく、捜査・司法当局の間で直接やり取りすることで、より早く効率的に他国から入手することが可能となりました(捜査共助)。加えて、テロ等の組織犯罪に関する情報収集について、これまで以上に国際社会と連携することが可能になりました(情報交換)。
2 「テロ等準備罪」の必要性
1) テロ等準備罪を新設しなければTOC条約を締結できませんでした
TOC条約第5条は、テロを含む組織犯罪を未然に防ぐため、締約国に対し、「重大な犯罪を行うことの合意」又は「組織的な犯罪集団の活動への参加」を、未遂罪や既遂罪とは別個の犯罪として処罰できるようにすることを義務付けています。これらの義務を果たさない限り、条約を締結することはできません。
しかし、テロ等準備罪を新設する前は、資料のとおり、TOC条約が犯罪化を義務付けている合意罪については、内乱、外患誘致等のごく一部の罪についてのみ、共謀・陰謀の罪として処罰可能とされているにすぎず、これらの義務を果たす上で不十分でした。
例えば、電気、水道、ガス設備等のインフラを標的としたテロ事犯、サイバー空間を利用した組織的な電子計算機損壊等業務妨害事犯、振り込め詐欺等の組織的な詐欺事犯、人身売買組織による人身売買事犯等については、その実行の着手前の段階で処罰することはできませんでした。
したがって,我が国がTOC条約を締結するためには、犯罪の計画・準備の段階で処罰できるようにする「テロ等準備罪」を設ける必要がありました。
2) テロ等準備罪により適確に対処できる事例
資料のとおり、テロ等準備罪を新設する前は、重大な犯罪の計画が行われたことが明らかになったとしても、
・未遂も予備もないものについては、犯罪が既遂に達するまで
・未遂はあるが予備のないものについては、実行の着手がなされるまで
・未遂・予備のあるものについては、「客観的に相当な危険性」※のある予備行為がなされるまで
は検挙・処罰することができないという意味で、処罰できないすき間(処罰の間隙)がありましたが、テロ等準備罪により、以下のような事例において、犯罪が実行される前の段階で犯人を検挙・処罰することが可能となりました。
・テロ集団が殺傷能力の高い化学薬品を製造し、これを用いて同時多発的に一般市民の大量殺人を行うことを計画した上、
例えば、殺傷能力の高い化学薬品の原料の一部を入手した。
・テロ集団が複数の飛行機を乗っ取って高層ビルに突撃させるテロを計画した上、例えば、搭乗予定の航空機の航空券を予
約した。
・テロ集団が分担してウイルス・プログラムを開発し、そのウイルスを用いて全国各地の電力会社、ガス会社、水道会社等の
電子制御システムを一斉に誤作動させ、大都市の重要インフラを麻痺させてパニックに陥らせることを計画した上、例えば、
コンピュータウイルスの開発を始めた。
※ 昭和42年東京高裁判決では、「予備」とは、「構成要件実現(実行の着手もふくめて)のための客観的な危険性という観点か
らみて、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が整えられた場合たることを要する」と
されています。
3 テロ等準備罪が新設されても一般国民の生活に何ら変わりはありません
1) 一般の方々はテロ等準備罪で処罰されません
テロ等準備罪には、
(1) 「組織的犯罪集団」の関与
(2) 重大な犯罪の「計画」
(3) 計画した犯罪の「実行準備行為」(犯罪を実行するための資金の準備等)
という3つの厳格な要件を設けています。
「組織的犯罪集団」は、重大な犯罪等を行うことを目的とする団体であり、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロ集団、暴力団、薬物密売組織など違法行為を目的とする団体に限られます。
さらに、3つの要件全てについて「故意」が必要であり、(1)「組織的犯罪集団」の関与、(2)指揮命令の下、役割を分担して犯罪を行うことについての具体的かつ実現可能性のある計画をすること、(3)その計画に基づき実行準備行為を行うことの認識のうち、1つでも欠いていれば、テロ等準備罪は成立しないので、知らない間に巻き込まれて処罰されることはありません。
したがって、「組織的犯罪集団」と関わりのない一般の方々がテロ等準備罪で処罰されることはありません。
また、これらの3つの厳格な要件全てについて具体的な嫌疑(疑い)が生じなければ捜査を開始することはできないのですが、組織的犯罪集団と関わりのない一般の方々にそのような嫌疑が生じるとは考えられません。
したがって、一般の方々は、テロ等準備罪の捜査の対象となることもありません。
※弁護士の嶋﨑量先生と佐々木亮先生は、ともにテロ等準備罪の創設に反対されています。
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